古文「給ふ」の活用と見分け方!四段・下二段と敬語の識別を徹底解説
古文の読解や大学入試対策において、誰もが必ず直面する最大の関門が敬語動詞「給ふ(たまふ)」の扱いです。文章中における出現頻度が極めて高い一方で、四段活用と下二段活用の2パターンが存在し、それぞれ敬語の種類や意味が根本から異なるため、多くの学習者が失点源にしています。
特に「尊敬語」と「謙譲語」の判別を誤ると、主語の把握が完全に逆転し、長文全体のストーリーを取り違える危険があります。この記事では、定期テストや大学入学共通テスト、国公立・難関私大の二次試験で確実に満点を取るための識別ルールと活用メカニズムを論理的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「給ふ」にはハ行四段活用(尊敬語:お与えになる/〜なさる)とハ行下二段活用(謙譲語:〜申し上げる)の2種類が存在する。
- 要点2:下二段活用の「給ふ」は補助動詞としてのみ用いられ、会話文・手紙文で一人称の動詞(思ふ・見る等)に接続する。
- 要点3:頻出表現「給へり」は四段活用の已然形に完了・存続の助動詞「り」が接続した形であり、確実に「尊敬語」と判定できる。
【古文の最重要動詞】「給ふ」の基本意味と尊敬語・謙譲語の決定的な違い
古文読解の成否を分けるのは、敬語動詞が「誰から誰への敬意」を表しているかを正確に捉える力です。「給ふ」はその筆頭であり、四段活用なら尊敬語、下二段活用なら謙譲語という大原則が存在します。
四段活用の「給ふ」は、動作の主体を高める尊敬語です。本動詞としては「お与えになる・くださる」、補助動詞としては「〜なさる・お〜になる」と訳します。身分の高い人物が主語になる場面で用いられ、平安時代の物語文学から軍記物語に至るまで、全編にわたって登場します。
一方、下二段活用の「給ふ」は、話者が相手に対してへりくだる謙譲語(丁寧さを帯びた謙譲語)として機能します。意味は「〜申し上げる・〜ております」となり、動作主は話者自身(自分側)です。この2つを取り違えると、行為を行っている人物と敬意の対象が真逆になってしまうため、正確な文脈把握が不可能になります。
【活用表で一目瞭然】ハ行四段活用とハ行下二段活用の活用形と覚え方
識別の第一歩は、両者の活用変化を完璧にインプットすることです。「給ふ」はどちらもハ行で活用しますが、母音の変化パターンが明確に異なります。
【ハ行四段活用(尊敬語)の活用表】
・未然形:給は(ha)
・連用形:給ひ(hi)
・終止形:給ふ(hu)
・連体形:給ふ(hu)
・已然形:給へ(he)
・命令形:給へ(he)
※覚え方は「は・ひ・ふ・ふ・へ・へ」。ア・イ・ウ・エの4つの段にわたって変化します。
【ハ行下二段活用(謙譲語)の活用表】
・未然形:給へ(he)
・連用形:給へ(he)
・終止形:給ふ(hu)
・連体形:給ふる(huru)
・已然形:給ふれ(hure)
・命令形:給へよ(heyo)
※覚え方は「へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ」。エ・ウの2つの段に変化します。
終止形「給ふ」だけを見ると同じ形ですが、直後に続く語(助詞や助動詞)との接続を見れば、どの活用形であるかが一目で判別可能です。特に連体形「給ふる」や已然形「給ふれ」が出てきた場合は、無条件で下二段活用(謙譲語)と断定できます。
【四段と下二段の見分け方】会話文に出現する特殊な謙譲語「給ふ」のルール
下二段活用の「給ふ」は、出現するシチュエーションが厳格に限定されています。このルールさえ頭に入れておけば、試験本番で迷うことはありません。
下二段活用の「給ふ」が現れる条件は、「会話文」または「手紙文(消息文)」の中だけです。地の文(語り手の説明部分)に下二段の「給ふ」が登場することは原則としてありません。地の文にある「給ふ」は、その時点で四段活用(尊敬語)と確定します。
さらに、下二段の「給ふ」は必ず補助動詞として使われ、直前には特定の動詞が置かれます。代表例が「思ひ給ふ(思い申し上げます)」「見給ふ(見届け申します)」「聞き給ふ(お聞き申します)」「知り給ふ(存じ上げております)」などの心話・知覚を表す動詞です。会話文の中で「自分(身分の低い側)の行為」の下にくっついている「給ふ」を見つけたら、下二段活用・謙譲語のシグナルです。
【本動詞と補助動詞の識別】接続で見抜く「給ふ」の文脈と構文パターン
敬語動詞の読解では、活用形式だけでなく「本動詞」か「補助動詞」かを切り分ける構文分析が欠かせません。
見分け方は極めてシンプルです。「給ふ」の直前に他の動詞(連用形)があるかどうかを確認します。直前に他の動詞がなく、名詞+格助詞「〜を給ふ」のように単独で述語になっている場合は本動詞です。四段活用の本動詞であれば「(高貴な方が身分の低い者に何かを)お与えになる」と直訳します。
一方、直前に動詞の連用形(「咲き給ふ」「書き給ふ」など)が先行している場合は補助動詞です。四段活用なら「お書きになる」、下二段活用なら「書き申し上げます」と現代語訳します。なお、下二段活用の「給ふ」には本動詞の用法が存在せず、100%補助動詞として機能する点も重要です。
【頻出の「給へり」を完全攻略】助動詞「り」との接続から導く活用の識別法
入試や定期テストの文法識別問題で最も狙われやすいのが「給へり」という複合形態です。一見すると「給へ」が下二段活用の連用形に見えるため、謙譲語と誤認して失点する受験生が後を絶ちません。
この謎を解く鍵は、後ろに付いている助動詞「り(完了・存続)」の接続ルールにあります。助動詞「り」は、「サ変の未然形」または「四段の已然形」にしか接続しないという鉄則(合言葉:サ未四已/さみしい)があります。
「給ふ」はサ変ではありませんから、後ろに「り」が付いている以上、直前の「給へ」は四段活用の已然形でなければ文法的に成立しません。つまり、「給へり」の構造は「ハ行四段動詞・給ふの已然形 + 完了の助動詞・りの終止形」であり、意味は「〜なさった(完了)」または「〜なさっている(存続)」という100%尊敬の表現になります。「給へり」を見かけたら即座に四段活用・尊敬語と処理してください。
【大学受験・共通テスト対策】敬語動詞一覧から整理する得点アップの極意
「給ふ」のマスターは、古文文法全体の敬語システムを制覇するための試金石です。入試で高得点を安定させるためには、他の代表的な敬語動詞との対比で整理しておくことが求められます。
例えば、「奉る(たてまつる)」「参らす(まゐらす)」は代表的な謙譲動詞であり、「お与え申し上げる」「〜申し上げる」を意味します。一方で「宣ふ(のたまふ)」「仰す(おほす)」は絶対的な尊敬動詞であり、「おっしゃる」を意味します。
古文読解において「給ふ」に遭遇した際は、次の3ステップで機械的に判別する習慣を身につけてください。
1. 文脈の確認:地の文なら無条件で四段活用(尊敬)。会話文なら次のステップへ。
2. 主語と接続の確認:主語が高貴な人物なら四段(尊敬)。主語が一人称で「思ひ給ふ」等の形なら下二段(謙譲)。
3. 活用形の特定:「給ふる」「給ふれ」なら下二段。「給へり」なら四段已然形+「り」。
【給ふの活用】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「給ふ」の命令形「給へ」と、已然形「給へ」はどう見分ければいいですか?
A1:文末にあるか、後ろに接続助詞があるかで判断します。文末で言いきりの形、あるいは会話の結びであれば命令形(〜なされ・お〜ください)です。後ろに接続助詞「ば(已然形+ば=〜ので・〜ところ)」や「ど・ども(〜けれども)」、助動詞「り」が続いている場合は已然形です。
Q2:下二段活用の「給ふ」に本動詞の用例は本当に存在しないのですか?
A2:存在しません。下二段活用の「給ふ」は、必ず他の動詞の連用形に付く補助動詞としてのみ用いられます。「〜を給ふ」のような本動詞の形で使われていれば、文脈や会話文の有無を問わず、すべて四段活用(尊敬語:お与えになる)です。
Q3:平安時代の文学作品以外でも、下二段の「給ふ」はよく出てきますか?
A3:下二段の「給ふ」は『源氏物語』や『枕草子』などの平安中期の貴族文学、とりわけ登場人物の丁寧な手紙文やかしこまった会話文で頻出します。時代が下ると「〜侍り」「〜候ふ」といった丁寧語・謙譲語表現への移行が進むため、平安古文の入試長文で特に狙われる識別ポイントとなっています。
まとめ:古典読解の鍵を握る「給ふ」の完全マスターに向けて
古文の最頻出語である「給ふ」は、単なる暗記対象ではなく、文章全体の敬意の方向と主語を特定するための羅針盤です。四段活用(尊敬語)と下二段活用(謙譲語)の明確な境界線を理解し、会話文特有のシグナルや助動詞「り」との接続ロジックを身につけることで、識別問題の失点はゼロに抑えられます。
日頃の古文読解演習でも、本文中に「給ふ」が出てくるたびに「四段か下二段か」「本動詞か補助動詞か」「誰から誰への敬意か」を頭の中で瞬時に言語化する訓練を重ね、確実な得点源へと昇華させていきましょう。 (出典: 給 ふ 活用(Yahoo!ニュース))