ワイスピ『ジェットブレイク』劇中車一覧!名車のスペックと撮影秘話
メガヒットカーアクションシリーズの第9作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(原題:F9)は、従来のストリートレースやスパイアクションの枠組みを遥かに凌駕し、ついに磁力兵器やロケットカーによる宇宙進出まで果たした歴史的意欲作です。シリーズを長年牽引してきたジャスティン・リン監督の復帰とともに、劇中に登場するカスタムカーの熱量はかつてない極限領域へと到達しました。
なかでも、主人公ドミニク・トレットが駆る前代未聞の「ミッドシップ型ダッジ・チャージャー」や、奇跡の復活を遂げた人気キャラクター・ハンがステアリングを握る「オレンジ×黒のトヨタ・GRスープラ」は、世界中のギアヘッド(熱狂的クルマ好き)を騒然とさせました。本稿では、劇中を彩った主要マシンの詳細スペックから、CG全盛の時代に敢行された過酷な実車破壊スタントの裏側まで、徹底取材に基づき余すところなく解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ドミニクの愛車はシリーズ初の「ミッドシップ・チャージャー」であり、名門ビルダーの手で100万ドル以上の巨費を投じてワンオフ製作された。
- 要点2:ハンの駆るGRスープラは伝説の名作『TOKYO DRIFT』のVeilSide RX-7をオマージュしたカラーリングで、日米のファンを熱狂させた。
- 要点3:画面を揺るがす電磁マグネットアクションや200台以上の車両破壊は、可能な限り「本物のスタント実写」にこだわって撮影された。
【名車集結】『ジェットブレイク』主要登場車種一覧と車両スペック詳細まとめ
今作『ジェットブレイク』の特徴は、アメリカン・マッスルカーの重厚なトルク感、最新鋭JDM(日本市場規格スポーツカー)の俊敏性、英国製ハンドメイド・スーパーカーのエレガンス、そしてミリタリー級オフローダーの走破性がハイレベルで交錯している点にあります。主要キャラクターたちが搭乗した注目マシンのスペックを一覧で比較します。
| キャラクター / 劇中車 | 詳細・数値データ(パワートレイン等) | ベース車両・一般的な特徴 | 編集部の見解・劇中での役割 |
|---|---|---|---|
| ドミニク・トレット 1968 ダッジ・チャージャー(ミッドシップ) | 6.2L V8 HEMI ヘルキャット 最高出力:約707hp〜800hp級 カーボンボディ、特注シャシー | 1968年型クラシックマッスル (本来はフロントエンジン・FR駆動) | SpeedKore社が100万ドル規模で特注製作。運転席後方にV8を鎮座させた究極の怪物マシン。 |
| ハン 2020 トヨタ GRスープラ | 3.0L 直列6気筒 B58ツインターボ 最高出力:387ps / 500Nm サンライズオレンジ×ブラック塗装 | BMWと共同開発されたA90型 新世代ピュアスポーツクーペ | 第3作『TOKYO DRIFT』のVeilSide RX-7を彷彿とさせる意匠。ファンの魂を揺さぶる復活の象徴。 |
| ジェイコブ・トレット 2016 フォード・マスタング GT350 | 5.2L V8 Voodooエンジン 最高出力:526hp(フラットプレーン) 専用エアロ+スーパーチャージャー改 | シェルビー直系の高回転型サーキット特化マスタング | ドミニクの「ダッジ派」に対抗する「フォード派」として設定。兄弟の深い確執と血闘を象徴。 |
| クイニー(マグダレーン) ノーブル M600 | 4.4L V8 ヤマハ製ツインターボ 最高出力:650hp / 車重1,250kg 6速MT仕様の硬派構成 | 英ノーブル・オートモーティブ社製 電子制御を排したスパルタンマシン | オスカー女優ヘレン・ミレン演じるクイニーがロンドン市街地をドリフト疾走する圧巻のシーンで使用。 |
| テズ / ローマン Jeep グラディエーター ルビコン | 3.6L V6 ペンスターエンジン FOX製別タンクショック 37インチ巨大オフロードタイヤ | ジープ・ラングラーをベースにした本格中型ピックアップトラック | ジャングルの地雷原突破シーンで獅子奮迅の活躍。過酷な地形を跳躍しながら踏破するタフネスを誇る。 |
| ローマン / テズ 1984 ポンティアック・フィエロ | 固体燃料ロケットブースター増設 大気圏離脱用耐圧シーリング 宇宙服接続インターフェース | 80年代GM製ミッドシップ2シーター (本来は100hp前後の大衆車) | ショーンらが魔改造した実験車。物語クライマックスで人工衛星破壊のため成層圏を越え宇宙へ到達。 |

【主役車の真相】ドミニクのミッドエンジン・チャージャーとハンのGRスープラ
劇中でひときわ強いオーラを放っていたのが、ドミニクとハンというシリーズを象徴する2人のマシンです。劇中車制作チームは、単なる既存車のドレスアップにとどまらず、キャラクターの生き様をそのままエンジニアリングへと落とし込みました。
ドミニクの愛車である1968年型ダッジ・チャージャー(ミッドシップ仕様)は、シリーズの車両統括責任者デニス・マッカーシー氏と、米国ウィスコンシン州の有名カスタムビルダー「SpeedKore Performance Group」がタッグを組んで生み出した奇跡のワンオフマシンです。本来フロントに積まれる巨大な6.2リッターV8スーパーチャージャー「ヘルキャット」エンジンを、なんと運転席の真後ろ、リアミッドシップに搭載しています。
コクピットとエンジンルームの間は特注の耐熱強化ガラスで仕切られており、室内に響き渡る吸排気音とスーパーチャージャーの唸りは凄まじい迫力を誇ります。車体はフルカーボンファイバーで成形され、ボディ剛性と軽量化を両立。制作費は100万ドル(日本円換算で約1億5,000万円以上)に達したと報じられており、単なる劇中プロップの域を超えた本物のスーパーカスタムカーです。
一方、世界中のファンが歓喜したのが、ハンの復活とともに姿を現した2020年型トヨタ・GRスープラです。ボディカラーは鮮やかなサンライズオレンジを基調にボンネットからルーフにかけてブラックの幾何学ラインが引かれ、これは映画第3作『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』でハンが駆っていた「VeilSide Fortune RX-7」へのストレートな敬意(オマージュ)となっています。
直線的なマッスルパワーを信奉するドミニクに対し、ハンは常にコーナーを華麗にいなすテクニカルなJDMスポーツを愛してきました。最新鋭の電子制御LSDと直列6気筒ツインスクロールターボを搭載したA90スープラは、ハンの飄々としながらも芯のあるドライビングスタイルを完璧に体現しています。
宇宙へ飛んだロケットカーの正体|ポンティアック・フィエロと超絶ギミック
『ジェットブレイク』において最も物議を醸し、同時に最大のカタルシスを生み出したのが「車で宇宙へ行く」という前代未聞の展開でした。この無謀なミッションに選ばれたベース車両が、1984年型ポンティアック・フィエロです。
フィエロは、1980年代にGM(ゼネラルモーターズ)が発売した量産型ミッドシップスポーツですが、当時は冷却トラブルやパワー不足に悩まされたいわく付きの車種でもありました。劇中では、『TOKYO DRIFT』組であるショーン、トゥインキー、アールが極秘研究施設でジェットエンジンを取り付けた実験車両として登場します。
ポンティアック・フィエロが選ばれた背景には、車好き特有のユーモアとリアリティの絶妙なバランスがあります。ミッドシップレイアウトのため後部に推進ユニットをマウントしやすく、どこか不格好で愛嬌のある80年代ウェッジシェイプが「ガレージビルダーの手作り感」を際立たせる効果を生みました。ローマンとテズがダクトテープで宇宙服の気密を取りながらロケット点火に挑むシーンは、CG合成だけでなく実物大のロケットフィエロを特装クレーンで吊り上げて撮影されました。

敵役と脇を固めるスーパーマシン|マスタングGT350・ノーブルM600・Jeepグラディエーター
主役級マシン以外にも、世界中の自動車文化から厳選された個性豊かなモデルたちが激しいバトルを繰り広げました。
ドミニクの実弟であり宿敵として立ちはだかるジェイコブ・トレット(ジョン・シナ)が選んだのは、2016年型フォード・マスタング GT350です。伝統的に「ダッジ対フォード」はアメリカン・マッスルの宿命のライバル関係にあります。ジェイコブのマスタングは、市販車として極めて珍しいフラットプレーンクランクシャフトを採用した5.2L「Voodoo」V8エンジンを搭載し、甲高い超高回転サウンドを響かせます。兄のトルクフルな低音V8と弟の高周波V8が衝突する音響演出は、劇場の音響設計における白眉でした。
ロンドン市街地を舞台にしたチェイスでは、ショウ兄弟の母であるクイニー(ヘレン・ミレン)がノーブル M600を優雅にドリフトさせます。イギリスの職人が手作業で組み立てるM600は、カーボン複合材のボディにヤマハ製4.4リッターV8ツインターボをミッドシップマウントした希少なスーパーカーです。トラクションコントロールやABSを極力排除した「ドライバーの腕だけを信じるマシン」であり、裏社会のゴッドマザーに相応しい玄人好みの選車といえます。
さらに、中米の密林を疾走するシーンではJeep グラディエーター ルビコンがその真価を発揮しました。ヘビーデューティーなDana 44アクスルと大径オフロードタイヤで武装したグラディエーターは、崩落する吊り橋や無数の地雷原を力技で突破し、スクリーン狭しと暴れ回りました。
【撮影秘話】ワイスピ9「マグネット搭載車」の真相と200台超の破壊スタント
本作のカーアクションを語る上で欠かせないのが、超強力な電磁石を車載して周囲の車両や敵を吸着・射出する「マグネットギミック」です。一見すると完全なデジタルCGに見えるこのアクションですが、制作現場では驚くべき実写スタントが敢行されていました。
ジャスティン・リン監督は「観客は本物の重力と金属のきしみを無意識に見抜く」という信念のもと、可能な限り実写での撮影を指示しました。車両製作チームは、実際にトラックの荷台へ油圧アームと圧縮空気ランチャーを設置し、ワイヤーで牽引した廃車を走行中のカメラめがけて時速60km以上で物理的に激突・射出させました。
本作の撮影期間中に実際に大破・スクラップとなった車両は200台以上に上ります。市街地を走行する一般車両が建物を突き破って反対側の通りへ飛び出すシーンでも、実際に油圧カタパルトで実車を店舗セット越しに射出しており、現場のスタントクルーからは「CGの修正を最小限に抑えるための極限スタントだった」と証言されています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
本作のメカニズムや演出に関して、インターネット上ではいくつかの誤解が散見されます。現場の公式記録および車両ビルダーのインタビューから真相を整理します。
第一に、「ドミニクのミッドシップ・チャージャーは走行不能な撮影用モックアップである」という誤解です。実際には、展示用だけでなく、実際にドリフト走行や急加速が可能な完全可動シャシーが複数台製作されました。トランスミッションにはレース用の強化シーケンシャルミッションが組み込まれ、プロのスタントドライバーが実走させています。
第二に、「宇宙へ行ったフィエロのシーンは全編フルCGである」という言説です。宇宙空間の背景や大気圏離脱の炎はVFXですが、コクピット内部の振動、窓ガラスにかかる歪み、役者が受けるG(加速度)の挙動は、専用の大型ジンバル(回転式油圧架台)に実車フィエロを固定し、実際に猛烈なロールとピッチを与えて撮影されたリアルな演技です。
【プロの結論】クルマ好き視点から見た本作の楽しみ方と判断基準
自動車ジャーナリズムおよび映画構造の観点から本作を評価すると、以下のような明確な視聴判断基準が存在します。
【本作を心から楽しめる人】
- 実車のカスタムカルチャーとV8/直6サウンドを愛する人:SpeedKoreのカーボンワークやGRスープラの吸気音など、耳と目で楽しめるメカニカル要素が満載です。
- ハリウッド最高峰の実写クラッシュスタントを体感したい人:CGに頼り切らない「鉄と鉄がぶつかり合う破壊のカタルシス」を存分に味わえます。
- シリーズのファミリー神話とエンタメの大盤振る舞いを楽しめる人:物理法則を超越した痛快無比なアクションをアトラクション感覚で堪能できます。
【やや慎重に観るべき人】
- 初期(第1作〜第3作)のリアルなストリートレース至上主義を求める人:磁力兵器や宇宙進出など、スパイSF要素が非常に強いため、リアリズムを重視しすぎると戸惑う可能性があります。
【ワイスピ ジェットブレイク 車】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ドミニクのミッドシップ・チャージャーは一般人が購入することはできますか?
A1:完全な同一仕様は市販されていませんが、製作を担当した「SpeedKore Performance Group」にオーダーメイドでカスタム車両(レストモッド)を依頼することは可能です。ただし、フルカーボンボディと特注HEMIエンジンの架装には最低でも100万ドル(約1億5,000万円以上)の予算が必要とされます。
Q2:ハンのGRスープラにはどこのエアロパーツが装着されていますか?
A2:劇中のGRスープラには、映画制作チームが専用に設計・加工したカスタムワイドボディキットが装着されています。ベースとなったカラーパターンはVeilSide風ですが、市販のエアロをそのままポン付けしたものではなく、スタント用のオーバーフェンダーやリップスポイラーが特別にフィッティングされています。
Q3:劇中で破壊された車はすべて本物の高級車や名車だったのですか?
A3:クラッシュシーンで破壊された車両の多くは、見た目だけを精巧に複製した「レプリカボディ」をパイプフレームシャシーに被せたスタント専用プロップカー、または中古のベース車両です。本物の希少なクラシックチャージャーやスーパーカーそのものを直接破壊しているわけではありません。
まとめ:スクリーンを駆け抜けた魂のマシンが遺したもの
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』に登場したクルマたちは、単なる移動手段や派手な小道具ではなく、登場人物たちの誇り、確執、そして強い絆を雄弁に物語る「もう一つの主役」でした。
1968年型チャージャーの大胆なミッドシップ化に見られる伝統と革新の融合、ハンの復活を鮮やかに彩ったGRスープラ、そして大衆車フィエロによる宇宙への跳躍。CG全盛の時代にあえて200台以上の実車をスクラップにしながら紡ぎ出された本物のアクションは、映画史に刻まれる圧倒的な熱量を放っています。スクリーンで唸りを上げるエキゾーストノートの背後にある、ビルダーとスタントマンたちの魂に思いを馳せながら、ぜひその迫力を再確認してみてください。 (出典: ワイスピ ジェットブレイク 車(Yahoo!ニュース))